ブロックチェーンのトリレンマ問題に「汎用性の難しさ」を加えたスケーラビリティへの考え方について

ブロックチェーンのトリレンマ問題に「汎用性の難しさ」を加えたスケーラビリティへの考え方について

Ethereum(イーサリアム)では、様々なスケーリングソリューションが議論されています。
PoSの導入、Plasma(プラズマ)、Sharding(シャーディング)、State Channel(ステートチャネル)など様々なアプローチが検討されています。もちろんスケーリング技術は万能なものはなく、それぞれの技術にボトルネックが存在します。

その点を、KyberNetwork(カイバーネットワーク)のCEOであるLoi luu(ロイ・ルー)氏の発表スライドが、様々なスケーリングソリューションを俯瞰していて有益ですので、紹介します。

※スライドは、「blockchain.tokyo」で発表されていたものです。

ブロックチェーンのトリレンマ問題に「汎用性の難しさ」を加えたスケーラビリティへの考え方について参照スライド

KyberNetwork(カイバーネットワーク)は、汎用的なトークンの交換機能を提供するプロジェクトで、DEX(分散型取引所)やDApps(分散型アプリケーション)の裏側で任意のERC20トークンを交換できるような機能を提供しています。

また、BitgoやRepublic Protocolと共同でWBTCの取り組みも行なっています。
それぞれ過去にコインチョイスのコラムで紹介しています。

▼参照
Kyber Network(カイバーネットワーク)が取り組む「バックエンドとしてのDEX」の重要性
ビットコイン(BTC)をイーサリアム(Ethereum)上のトークンにするWBTCへのインパクト・批判

各スケーリングソリューションのボトルネック

Loi luu(ロイ・ルー)氏によると、各スケーリングソリューションが実現したとしてもボトルネックは下記のようなものが挙げられます。

Sharding(シャーディング)ボトルネック

-それぞれ別々のシャードでコミュニケーションがしにくい。チケットホテル問題が起きる。この場合、一度でフライトチケットとホテルを予約したいのに、メインチェーンのTXと、フライトチケットのTXとホテルのTXが最低でも3回必要。Cross-Shardコミュニケーションは大変。(TX=トランザクション)

Plasma(プラズマ)ボトルネック

-様々なPlasma(プラズマ)チェーンができても、それぞれのPlasamチェーンがコミュニケーションとるのは難しい。それぞれのPlasamaではセキュリティレベルが異なっており、それを把握するのに複雑性がある。

ブロックチェーンのトリレンマ問題→クオドリレンマ問題

ブロックチェーンのトリレンマ問題は、多くの人にとって周知の理論です。ブロックチェーンをスケールさせるにあたり、Scalability(トランザクションスピード)とDecentralization(分散性)、Security(セキュリティ)は、両立はできず、どれかを犠牲にしなくてはいけないというものです。

一般的には、例えばビットコイン(BTC)は、トランザクションスピードを犠牲にして、分散性を得ていますし、イオス(EOS)は分散性を犠牲にしてトランザクションスピードを得ています。

しかし、Loi luu(ロイ・ルー)氏は、ShardingやPlasmaのボトルネックを踏まえた上で、Genericity(汎用性)を加えて「Scalability・Decentralization・Security・Genericity」の4つのクオドリレンマの考え方として問題定義しています。

ブロックチェーンのトリレンマ問題に「汎用性の難しさ」を加えたスケーラビリティへの考え方について参照スライド

Plasmaが異なるPlasamチェーン同士のコミュニケーションが困難であることや、異なるShard同士のコミュニケーションが困難であることを前提にして、汎用性を不可することも困難であるという問題提起だと言えます。

アプリケーション特化型のスケーリングの提案

そのうえで、Gormos(ゴルモス)というSharding(シャーディング)の応用を単一のアプリケーション特化型のスケーリングとして提案しています。つまり、Genericity(汎用性)を捨てていて、アプリケーションに合わせたアーキテクチャです。

これに関しては、SDKでTenermintチェーンを固有のアプリケーションごとに作るCosmos(コスモス)なども思想設計としては近いものがあります。その他の類似のものとしては、Substrateなどもそうでしょう。

参照:異なるブロックチェーンを相互通信するCOSMOSの仕組みを理解する。

逆に、Genericityを得たいなら、Decentralizationなどを捨てなくてはいけないというクオドリレンマの考え方は適切な理論です。ブロックチェーンのスケーリングは、トリレンマ問題ではなく、クオドリレンマ問題があるという彼の問題定義は興味深いと言えます。

関連:Kyber Network(カイバーネットワーク)CEOが語る、分散性の重要性や今後の展望とは?


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Source: 仮想通貨ビットコイン

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