仮想通貨を法定通貨にする計画で国論二分、マーシャル諸島の大統領不信任案かろうじて否決

仮想通貨を法定通貨にする計画で国論二分、マーシャル諸島の大統領不信任案かろうじて否決

「真珠の首飾り」と呼ばれる人口約5万3,000の太平洋上の島国マーシャル諸島が、仮想通貨をめぐって熱い論争を繰り広げています。共和国議会は2018年11月12日、政府独自の仮想通貨発行を計画するヒルダ・ハイネ(Hilda Heine)大統領の不信任案を賛否同数でかろうじて否決しました。

発行を控えるよう説得する国際通貨基金(IMF)まで巻き込んだ今回の論争はこれによって一段落し、ハイネ大統領が今後どのような決断をするのか注目されます。現行の法定通貨であるドルを補完する、もう1つの法定通貨を目指す仮想通貨発行計画とは?その一連の動きを追ってみました。

仮想通貨の発行を目指すハイネ大統領かろうじて危機回避

マーシャル諸島の通貨はドル(USD)ですが、ハイネ大統領は1年も前から、ドルと同様の決済手段として独自の仮想通貨の発行を計画しました。これに対して8人の議員が、「大統領はこの計画で国家の評判をおとしめた」と批判して、不信任案を提出したのです。同案は16票対16票の同数で否決されました。ハイネ大統領は当初から「仮想通貨発行はわが国の歴史的瞬間である」と、計画の成立に楽観的でした。

ところがこの計画は、国外からも思わぬ横やりが入ったのです。国際通貨基金(IMF)が9月、この計画を進めるコストが、考えうる利益を上回るとの理由で思いとどまるよう説得を開始したのです。IMFは同国の一部議員との間で、発行計画は国家の評判を損なう恐れがあるとともに、経済発展を阻害し、マネーロンダリング(資金洗浄)とテロリズムを助長するとの見解で一致しました。

ハイネ大統領の仮想通貨発行計画は、イスラエルのフィンテック企業Neemaと提携して、主権を意味する「Sovereign」に由来する法定通貨「SOV」を18年末にICO(イニシャル・コイン・オファリング)で発売するものでした。

議会は2月、「2018年ソブリン通貨法の宣言と発行」をいったんは可決しました。同大統領は当時、「これはドルと併せて、自国の通貨を発行、流通させる、国民にとって歴史的な瞬間である。これは国家の自由を表す新たな一歩である」と宣言しました。

仮想通貨SOVは法定通貨を補完する新たな法定通貨として発行

デービッド・ポール(David Paul)大統領補佐担当相兼環境相によると、コインの発行限度額は2400万SOVまでとされています。SOV発行によって、近い将来に法定通貨(ドル)を廃止する計画はなく、新たに法定通貨となるSOVは、1982年以来唯一の法定通貨である米ドルを補完することになるといわれます。

ベネズエラが発行したペトロ(Petro)は、石油と連動した仮想通貨でしたが、SOVは真に政府が発行する法定通貨そのものという意味で、世界初の仮想通貨になるはずであり、その価格は市場によって決まるとされています。

国際通貨基金(IMF)はマクロ経済リスクなどを理由にSOVの発行に反対

IMFは9月10日、SOV発行計画はマネーロンダリングや財務の健全性、マクロ経済リスクを理由に批判する声明を発表しました。IMFによると、マーシャル諸島は、主として米国など経済大国の外国支援に依存しており、法定通貨を発行すれば、多くの国が財政支援を削減する可能性があると指摘しました。

特に、SOVの発行にあたっては、厳格な本人確認(KYC)とマネーロンダリング防止措置が講じられなくてはなりません。IMFは、厳格な対策がなければSOVが犯罪を誘発、テロ組織への資金供与やマネーロンダリングの手段として悪用されるリスクを危惧しています。

デービッド・ポール大統領補佐担当相は5月、ドル依存から脱却して、「国家として、われわれはそれが仮想通貨であれ法定通貨であれ、自国の通貨を発行する権利を留保している」と語っていました。ハイネ大統領は、当面の危機を脱したとはいえ、内外の反対の声を受けてSOV発行計画をどうするのか正念場を迎えています。

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参考
NEWSBTC
CCN

Source: 仮想通貨ビットコイン

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