10年後、仮想通貨の状況はどうなっているのか?:栢森 加里矢(QUOINE 代表取締役CEO)

10年後、仮想通貨の状況はどうなっているのか?:栢森 加里矢(QUOINE 代表取締役CEO)

コインチョイスのみなさん、Quoine株式会社(コイン)の栢森(カヤモリ)です。

2018年もいよいよ終わりですね。

12月に入ってから「2018年の日本の仮想通貨業界を振り返って一言お願いします」と度々聞かれるのですが、まさに「激動の一年」という言葉以外思い浮かびません。 漢字一文字で表現するのであれば「」が一番しっくりくると思います。

2018年の仮想通貨市場の振り返り

まず、2018年を振り返る前に、2017年の終わりに仮想通貨業界の識者やファンド担当者がビットコイン(BTC)価格の予想をしました。下記リストをみるとわかりますが、一番低い予想で1ビットコインがUSDで20,000(約220万円)。セキュリティソフトウェアのマカフィーを創業したJohn Mcafee氏は2020年の予測ではありますが、1ビットコインがUSD1M(1.1億円)になると予想しています。

私も2018年末には500万円になるのではないかと予想しました(但し、大きなハックや流出事件がなければという前提ですが)。

著名人の仮想通貨価格予測出典:Crypto Oracle

結果は、皆さん、ものの見事に外れました。

12月25日現在、1ビットコインは日本円で45万円になります。BTC/JPYのグラフを見ると、1月の高値後、ずっと落ち続けました(年末少し戻しておりますが)。

ビットコイン(BTC)チャートbyCryptowatch出典:Cryptowatch

仮想通貨は新しい金融資産になりますので、予測が難しいのはわかりますが、なぜ多くの識者がここまで間違えてしまったのでしょうか?

2018年を振り返ってみると、その理由がわかります。

1月は、2017年の熱狂が続いており、ビットコインも200万円、また、アルトコインは高値を更新しました。しかし、2018年1月26日の大手仮想通貨交換業者の流出事件以降、仮想通貨相場は大きく値を下げ、今現在も下落基調が続いております。この事件のインパクトは、マウントゴックス(Mt. Gox)以来の特大級のものでしたが、それ以外にも、色々なことがありました。どれも基本的にはネガティブな事象です。

  1. グローバルにおける規制の強化
  2. 米国SECによるビットコインETFの先送り
  3. 蔓延しているICO詐欺に対する不信感
  4. ビットコインキャッシュのハードフォーク
  5. 仮想通貨採掘事業者が採算割れによる仮想通貨の売却等

ただでさえ、ビットコイン価格は2017年で20倍、イーサリアムは100倍強になりましたので、価格の修正は否応なしにおこる土壌がありました。そこに、上記ネガティブ要因が複合的に重なったことが価格の下落に拍車をかけました。

ダメ押しは、年後半に仮想通貨価格が上昇するという期待をもっていた仮想通貨保持者が落胆による失望売りをはじめたことです。ここ数年は、11月前後から上昇相場がはじまるのですが、今年は逆に11月から出来高を伴い全仮想通貨の価格が急降下してしまいました。

2017年に比べて、メディアによるネガティブな報道も仮想通貨に対する世間のセンチメントを悪化させる要因になったのは否めません。

仮想通貨は終わり?

それでは、仮想通貨はもう終わりなのでしょうか?
詐欺が蔓延し、草コインが出回り、犯罪やマネロンに使われ、ビットコインやイーサリアムの価格はゼロになってしまうのでしょうか?

私は、むしろ2018年の仮想通貨の価格修正は市場にとってよかったと思います。急激に上がるものは、どこかで修正がなければ、持続可能でありません。

1999年のインターネット・バブルを見るとそれがわかります。
当時はドットコムをつけ、ウェブサイトがあれば、企業の時価総額は跳ね上がりました。Pets.com、Webvan等、旧態依然とした事業やビジネスモデルがネット進出すれば、いきなりインターネット企業になれた時代です。当然そのようなブームは長続きしませんでした。

以下のチャートを見ればわかりますが、Nasdaq指数は当時USD5,000近くまであがり、その後USD1,000を割り込みました。指数が80%が下落したのです。その後、インターネットは本格的な普及期に入り、AmazonやGoogle等、現在の世界の時価総額のトップ企業が出てきました。
Nasdaq指数も時間はかかりましたが、2018年は過去最高を更新しました(現在価格は修正中です)。

10年後、仮想通貨の状況はどうなっているのか?:栢森 加里矢(QUOINE 代表取締役CEO)出典:SeekingAlpha

仮想通貨市場も、ビットコインの価格は1月の200万円から45万円まで下がりました。下落率は80%です。当然、インターネット業界と仮想通貨業界は同じでありません。仮想通貨はお金のインターネット、デジタルマネーと言われておりますが、2000年のインターネット時代より、更に新陳代謝が早く、猛烈なスピードで進化しています。

あくまでも個人的な意見ですが、インターネット・バブルよりも早く回復すると思います。

繰り返しになりますが、仮想通貨の可能性、その技術革新は、100年以上続いてきた旧態依然とした金融業界に破壊的なイノベーションをもたらします。今までのようなお金のやりとりや決済手段、送金方法が根底からかわるのです。しかも、地域や国レベルでなく、世界レベルでその変革が起きます。

以下の図を見るとわかりますが、価値を代替するものは、改ざんされないもの、盗まれないものから始まり、それが金や銀等の希少性のある金属になり、金本位制から法定通貨に進化してきました。これからは、それがデジタルになります。紀元前より続いてきた進化が、デジタル化することにより一気に花開くのです。

当然、この流れについてこられない業種や業態は残念ながら駆逐されていきます。

このイノベーションこそ仮想通貨・ブロックチェーンです。

10年後、仮想通貨の状況はどうなっているのか?:栢森 加里矢(QUOINE 代表取締役CEO)出典:Pantera Capital

私が起業した4年半前から、ビットコインは何度も一過性のブームだ、バブルだ、すぐに終わる、すでに終わったと言われてきました。しかし業界はマウントゴックス(Mt. Gox)事件があったときも、ハードフォークがあったときも、乗り越えてきました。

仮想通貨の根源的価値は変わりません。
お金のインターネット。価値のインターネットなのです。

仮想通貨の10年後

それでは、10年後の仮想通貨の状況はどうなっているのでしょうか?

技術革新すべてに言えますが、基本的に未来を正しく予測するのは不可能です。しかし、温故知新ではありませんが、仮想通貨の歴史を振り返って、近未来を考えるのはワクワクします。

ご存知のとおり、ビットコインは10年前に生まれました。いわゆるSatoshi Nakamotoの白書です。(参考

当時は誰もビットコインを知りませんでした。リーマンショックのアンチテーゼとして、中央集権化した銀行や中間業者を通さない、分散化されたピアツーピア(P2P)の新たな送金・決済システムの発案でした。その背景には、自分のお金や資産は自分で守るべきというリベラルな理念があります。

未だ実用途ではあまり使われておりませんが、ほとんどの人がビットコインや仮想通貨を聞いたことがあります。つまり、この10年で世界中で認知されるまでになったのです。

そして、これからの10年が仮想通貨・ブロックチェーン技術の本格的な発展・普及期になると思います。事例として以下4つをご紹介します。

投資・運用

【1】現在の仮想通貨は、投資や資産運用の側面のみが注目されています。FXの発展版という位置づけからはじまり、一部の投資家やユーザを中心に爆発的に流行りました。しかも、日本の将来を担う20−30代が中心です。今まで、投資や運用にあまり興味を持たなかったミレニアル世代が興味をもったことは特筆すべきことだと思います。

彼らにとって、仮想通貨は金融の入り口でした。デジタル・ネイティブである彼らには、仮想通貨は一番身近な金融サービスだったのです。仮想通貨は、今までハードルが高かった既存の金融サービスの垣根を下げることに成功しました。ただ、このまま若手へのニッチなサービスで終わってはなりません。

10年後、仮想通貨は、株式や債権等の金融資産と互角に肩を並べるか、もしくは、それ以上に大きくなっている可能性があります。機関投資家や事業会社、資産運用会社や大手ヘッジファンドも参加し、仮想通貨の派生商品も開発されているはずです。現在の仮想通貨やユティリティ・トークンだけでなく、債券型トークンやエクィティ型トークン、アセットバック型トークン等どんどん進化していきます。

仮想通貨の最大の魅力は、仮想通貨自身が進化していくことです。ビットコインが誕生して10年。イーサリアムはまだ5年たっておりません。投資や運用としての仮想通貨の10年後の可能性は無限だと思います。

送金

【2】Satoshi Nakamotoのビットコイン白書でかかれているピアツーピア(P2P)送金こそ、既存の送金関連サービスを根底から覆す破壊力を秘めているのです。特に個人間の国際送金に関して、現在のように数千円の手数料と為替のスプレッドを負担した上で、送金完了まで3−5営業日を要するサービスは、最も仮想通貨に代替されやすいサービスの一つです。

仮想通貨を使えば、リアルタイムに、ほぼ手数料無料で、世界の裏側に送金することができます。しかも、銀行や中間業者は必要ありません。世界中にいる自分の友達や身内にビットコインを送金することができるのです。既に、一部地域ではこれが実現されています。送金業界において、これは画期的なことです。ただ、現在はまだ認知度が足りなかったり、仮想通貨のボラティリティが高かったりして使い勝手が悪いですが、これも時間の問題です。

より多くの人が使いはじめ、ネットワーク効果が生まれてきたら、銀行や店頭にいって送金の指示実行をしていたのが、いかに原始的であったか気づくでしょう。しかも、その送金手段はスマホだけでなく、ウォッチなどウェアラブル端末に移り変わっていくのです。

決済

【3】世の中に仮想通貨が一般的に広がり、ネットワーク効果が働くにつれ、自ずと使われてくるのが決済としての機能です。Satoshi Nakamotoのビットコイン白書でかかれているピアツーピア(P2P)は送金だけでなく、決済にもつながります。特に世の中がグローバル化していくにあたり、ある国の特定通貨だけでしか決済できないのは不便極まりないのです。

当然ローカルでは自国通貨でよいと思いますが、オンラインショッピングや旅行、国をまたがって決済したい場合は、世界で通用する通貨が必要になります。仮想通貨がドルを置き換えるとは言いません。しかし、世界で認知されている172の公式・実質法定通貨の内、基軸通貨と言える法定通貨はいくつあるのでしょうか?おそらく、ドル・ユーロ・円・ポンド等片手で数えられます。ビットコインをはじめとする仮想通貨がその一角を担うのは容易に想像できます。

また、決済も個人間だけでなく、国際貿易、国際決済等、ビジネス面でもどんどん広がっていくはずです。10年以内に、決済サービスの世界観は大きく変わっていると思います。

トークンエコノミー

【4】10年後、気がついたらトークンエコノミーが実現されているはずです。現在あるポイントカード、プリペイドカード、マイレージ等のロイヤリティシステム、株式や債権等、あらゆる金融商品がデジタル化し、更には送金や決済など身近なサービスがどんどん置き換わっていきます。お金や金融だけでなく、あらゆる情報が分散化台帳で管理されることにより透明性と可視化が進み、個人が自分の個人情報等のデータを管理すると共に、デジタル化したお金も個人が管理可能な時代がきます。

世の中がデジタル化されることにより、その認証トークンとしてトークンエコノミーが到来します。ユーザーの生活・行動様式も進化し、トークンを必要とするサービスの利用時に、必要に応じて自由に売ったり、買ったり、使ったり、送ったり、あげたり、もらったりすることができるようになるのです。

当然、世の中全ての人が仮想通貨を中心としたトークンエコノミーに参加することはありません。若手を中心としたデジタル世代がまず日常で使いこなしていくでしょう。

最後に

10年後、仮想通貨の状況はどうなっているのか?:栢森 加里矢(QUOINE 代表取締役CEO)

前回も書きましたが、私が最初に仮想通貨に出会ったのは2010年です。
その革新性は、インターネットと出会った時以来の衝撃でした。インターネットがあらゆる業界にポジティブなインパクトがあるように、仮想通貨・ブロックチェーンも同様のインパクトがあると信じています。

新しいものや破壊力のあるものは、既成産業や伝統的なやり方を重んじる方々には受け入れられません。ただ、イノベーションは気づいたら、それなしでは生活できなくなってしまいます。私は、インターネットのない生活が想像もつきませんし、スマホのない生活もしかりです。仮想通貨も同じような軌跡をたどると思います。

仮想通貨は、まだまだ黎明期です。但し、10年後は、現在の実証段階から発展・普及期に入っており、我々の生活の一部になり、そして生活水準の向上に貢献しているのは間違いありません。そんな未来を想像するとワクワクします。

2018年は激動の一年でしたが、2019年の発展にむけて必要な一年でもありました。

それでは、来年また寄稿します。

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Source: 仮想通貨ビットコイン

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