ビットコイン(BTC)2019年2月のマイニング環境を整理

https://cdnjs.cloudflare.com/ajax/libs/mathjax/2.7.2/MathJax.js?config=TeX-AMS_CHTML-full

ビットコイン(BTC)2019年2月のマイニング環境を整理

BTCマイニング環境概況(2019年2月)

前回記事からおよそ一ヶ月が経ち、相場には些かの戻りが見えています。これが単なる踊り場なのか、あるいは底打ちなのかはまだ分かりません。Twitterではオプションについて一部の金融本職勢が活発に議論を進めており、その影響か市場におけるマイナーの存在感が再認識されてきているように感じています。

このところマイニング装置の限界電力効率は長期に渡って一定の水準を維持しており、本稿ではこの点も踏まえて現在のマイニング環境について整理します。 (データは日本時間2/21取得)

ハッシュレートとディフィカルティ

先ずハッシュレートとディフィカルティの推移を図1で確認しましょう。ハッシュレートは結局昨年12月に底を打ち、2019年に入ってからは漸増傾向が続いています。しかし、下げ止まったとはいえ、未だピーク時の2割から3割程度低いところにあり、採掘収益性が足を引っ張っていることを想像させます。

BTCハッシュレートとディフィカルティ

図1:BTCハッシュレートとディフィカルティ

ディフィカルティはハッシュレートによって定まるので、あまり語るところはありません。BTCUSDレートは読者諸賢も記憶されている所と思いますので、早々に (r/D) 比の話に移りましょう。タームの詳しい定義は初稿を参照頂くとして、簡単には (r) が1 BTCのドル建て価格で、 (D) がディフィカルティです。ASICの限界電力効率 (f_{A0})(r/D) に比例するため、これが小さくなれば(例えばBTCUSDは変わらずディフィカルティのみ上昇するケース)ASICにはより高い電力性能が求められる事になります。図2でこれを確認しましょう。

ディフィカルティとr/D
図2:ディフィカルティと(r/D)

緑線がディフィカルティで赤線が (r/D) を表しています。先月の記事を執筆した時点で (r/D) はJan 2019の下りを終えた辺りでした。その後、同水準を維持し、最近のレート上昇を受けて一時的にか跳ね上げています(高が知れていますが…)。これは後に示すASICの限界電力効率 (f_{A0}) に反映される動きであり、もし噂されているようにマイナーがレートに対して強い影響力を持っているならば、現在マイナーがどの水準を保とうとしているかがうかがえます。

Antminer S9iの採掘コストとBTCUSDレート

ここで例によってAntminer S9i(0.094 kJ/TH)で1 BTC当たりの採掘コストを推定してみましょう。BitmainはS15やT15がようやく出回り始めた今になっていきなり0.030 kJ/TH級の新機種を発表してきましたが(S15やT15は約0.05 kJ/TH以上)、しばらくはマジョリティとして影響を及ぼさないと思うので、本稿では考慮に入れません。未だ旧機種も多数稼働していますし、旧世代より一段効率の良いところで考察します。

図3では、BTCUSDの変動に合わせて、これまでの7 cent/kWhより少し低い6.5 cent/kWhでコストを算定しています。新機種の稼働や昨秋急落以降の移設も多少考慮しての「込み込み6.5 cent」想定です。

6.5 cent/kWh運用下でのAntminer S9i採掘コストとBTCUSDレート

図3:6.5 cent/kWh運用下でのAntminer S9i採掘コストとBTCUSDレート

赤色のコスト線を見て貰えば、なぜ今回6.5centで算定したか察しが付くと思います。この値で近時のBTCUSDとほぼ同じ値になるのです。つまり「0.094 kJ/THで6.5 cent/kWhのコスト」という組み合わせが、BTCUSDの状況を表現できる一組の変数なのです。もちろん他の組み合わせでも表現できますが、個人的な感覚ではこの辺りがグローバル加重平均として適当な落としどころではないかと思っています。次の図4は前回と繋がるように7 centの想定で示します。

7 cent/kWh運用下でのASIC損益分岐電力効率

図4:7 cent/kWh運用下でのASIC損益分岐電力効率 (f_{A0})

直近20日時点での限界効率は0.097 kJ/THで、S9iでギリギリ利益が出るところです。しかしポイントはこの少し前の期間です。かなり長期にわたって0.088-0.089 kJ/THで推移していました。昨年11月末に底打ちしたのも0.09 kJ/TH弱でしたので、このラインが現在のマイナーにとって重要なラインなのだと思われます。

主要新世代機の収益性

最後は主要機種の1 BTC採掘コストを図5に整理します。(運用)電力コストを5-9 cent/kWhの範囲で表示しており、装置の償却は計算に含めていません。

各運用コスト下における新世代機らの採掘コスト
図5:各運用コスト下における新世代機らの採掘コスト

図中T15以上の新世代機ならば、今の$3900で9 cent/kWhまでコストをかけても余裕があります。先に検討したS9iやAvalonMiner A911でも7 cent程度なら勝負可能です。もしコストを6 centにまで下げられるのであれば新世代機にこだわる必要もなく、S9でさえ利益が出せます。

もし電力、人件費、その他CAPEX等込みで6 centを切れる環境にあるならば、そのマイナーは新機種の入手性等にアタマを抱えることもなく、安価な旧機種で今なお戦い続けられるのです。

結言

収益を生み出す電力効率の限界 (f_{A0}) は相変わらず同水準を彷徨っています。推測の域を出ませんが、ここまで固定される背景には新機種導入の遅れがあるのでしょう。限界効率を押し下げるチカラが強く働いているようには見受けられないので、当面は下がっても (f_{A0} ~ 0.09) kJ/THまでと見ています。
果たしてこの均衡を大きく崩すのは、爆発的なBTCUSDの上がりか、はたまた有力マイナーによるハッシュレートの急増か。

関連
ビットコイン(BTC)の価格・相場・チャート
ビットコイン(BTC)マイニング、2019年1月の環境概況を整理
PoWマイニングの収益関数とディフィカルティの関係

https://tippin.me/buttons/tip.js

Source: 仮想通貨ビットコイン

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。