活発化するイーサリアム(Ethereum)のマイニングアルゴリズムのアップデート議論

活発化するイーサリアム(Ethereum)のマイニングアルゴリズムのアップデートの議論

イーサリアム(Ethereum)のマイニングアルゴリズムのアップデート議論

イーサリアム(Ethereum)コミュニティでは、ProgPoWについての議論が活発になっています。ProgPoWは、プログラマブルなPoW(Programmatic Proof-of-Work)の略で、次期のイーサリアムの大型アップデートであるイスタンブールに導入されることが、コアデベロッパーの会議では決定しています。

ProgPoWが導入されると現在のイーサリアムで稼働しているASICは、採掘効率が悪くなり、GPUマイナーは今より採掘効率が上がります。Ethereumでは将来PoSへの移行が計画されますが、その前の期間にもマイニングのアルゴリズムが変更される予定です。現在、この導入を巡ってイーサリアムコミュニティで議論が起きており、本レポートでは、ProgPoWの概要や知っておくべき点を解説します。

関連:PoWとPoSとは?

前提:2019年3月時点に導入されているEthashについて

イーサリアムのブロックチェーンは現在PoWであり、アルゴリズムはEthashを採用しています。Ethashは有効非巡回グラフを用いて、ビットコインで採用されているSHA256より複雑な計算をコンピュータに要求しています。

そのため採掘効率を極端に高めるASICの開発が難しく、ビットコインなどであればASICは500倍以上採掘効率が良いことに対して、イーサリアムのAISCではGPUに対して2倍程度の効率性が引き出せません。これが現在のイーサリアムのネットワークで、GPUマイナーとASICマイナーが混在している理由です。イーサリアムのASIC自体も最初に発売されたものは2017年であり、元々イーサリアムコミュニティはASIC耐性があるアルゴリズムを好んできました。

ProgPoWとは?

ProgPoWは、現行のEthash以上にASIC耐性が高いマイニング方式です。ProgPoWという名称自体は、アルゴリズム名ではなく複数のアルゴリズムを可変的にするという提案です。50ブロックに一度ランダムにアルゴリズムが変更されるというものです。ASICが特定のアルゴリズムに最適化をするものであり、Mix State(混合状態)の増加、メインループへの数学的ランダムシーケンスの追加をするなどのアプローチでASIC耐性を高めます。

その他には、64ビットワードから32ビットワードのハッシュ関数に変更、ランダムアドレスに対応した小容量低速キャッシュからの読み取りの追加、DRAM読み込みを128バイトから256バイトに増大することが含まれます。この提案は、EIP-1057としてIfDefElseらが2018年5月に行いました。Ethereum2.0あるいはPoS移行は1-2年かかりますが、その後も数年はPoWのイーサリアムチェーンは残り、ハイブリッドになる予定です。

Ethereum2.0の概要は下記の記事に詳しいです。
レポート:Devcon4でVitalikが発表をしたEthereum2.0・Serenityの概略、大まかな全体像を理解する

ハイブリッドの期間を数年を経て、Pure PoSに移行をすることになっています。つまり、PoWは暫定的なものとはいえ、今後5年ほどは残る可能性が高いと言えます。もっともロードマップ上で5年程度なので遅延をすれば、それ以上の期間、PoWチェーンが残る可能性もあるだろうと予想できます。

上述したように、現在、イーサリアムのASICはGPUに対して2倍程度の効率性しか発揮できるものはないですが、中国の新興マイニング機器製造企業のリンジ(Linzhi)社は6~7倍の効率性の高いEthashのASICを年内に開発できるとアナウンスしています。これによってASIC耐性を引続き維持するならば、ProgPoWの移行が必要ということになります。

イーサリアムのPoS移行に関する議論

一部では合意ができないハードフォークが起き、チェーンが2つに分岐をするのではないかと言われてもいますが、筆者としては、それが起こる可能性は極めて低いと予想しています。今の所、ProgPoWに対する賛否のシグナルは、中心的マイナーの投票が得られていないもの、賛成が圧倒的多数になっています。(参照

ただし、マイナーがイーサリアムのPoS移行に反対をするタイミングが仮にあるとするならば、ProgPoWは適切なタイミングであり、そのために議論が集まっています。イーサリアムは前回のConstantinople(コンスタンティノープル)のアップデートによってブロック報酬が削減されており、それにも関わらず、ネットワークのハッシュレートは下がっていないことからマイナーの利益は減少していることを意味します。これに加えて、ProgPoWが導入されると、ASICマイナーは機器費用の投資回収期間も長引くことになります。

イーサリアム(ETH)の価格・相場・チャート

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Source: 仮想通貨ビットコイン

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