日立、KDDI、積水ハウスが取り組む「異業種」コンソーシアム──「顧客情報」は企業間で共有できるか?

立製作所が中心となり、通信のKDDI、不動産の積水ハウスなど異業種が組み、データ基盤を共有するコンソーシアム型ブロックチェーンは、同技術の活用における新たな潮流となるか?

日立製作所が主催する「Hitachi Social Innovation Forum 2019 TOKYO」が10月17日、18日の2日間、東京国際フォーラム(東京都千代田区)で開催。AI、IoTをはじめとする最先端テクノロジーに関する様々な講演、セッション、展示などが行われている。

「ブロックチェーンによる企業間データ連携のインパクト~スマートフォンで始める新生活~」セミナーには、日立製作所、KDDI、積水ハウスが参加。3社が2019年4月にスタートした、不動産賃貸物件の内覧から入居までの申し込みの利便性を向上する共同検証の詳細、同コンソーシアムのこれからの展望について語られた。

異業種連携のカギとなる「本人情報」確認の効率化

かつては囲い込みにより顧客情報を自社のデータベースにいかに蓄積するかが、ビジネスの勝敗を分けてきた。

しかしブロックチェーン技術の登場により、複数の企業で顧客データを持ち合う企業間連携が登場しつつある。

日立製作所が中心となり、通信のKDDIと不動産の積水ハウスが取り組む「異業種」のコンソーシアムは、ブロックチェーン技術の活用における新たな潮流だ。これまではIBMとマースクが共同で運用する物流のプラットフォーム「トレードレンズ(TradeLens)」の事例や、不動産大手のLIFULLがNTTデータ経営研究所などと共に立ち上げた不動産情報コンソーシアム「ADRE」の事例など、同じ業種で取り組むケースが多かった。

なぜ異業種が同じ船に乗ることができるのか? カギとなるのは「本人情報」確認の効率化だ。

KDDI、積水ハウス、日立製作所の3社は2019年3月に共同検証の開始をアナウンスし、「賃貸物件の内覧申込みの際の現住所や電話番号のお客さまによる入力を簡略化」の検証を進めてきた。

日立製作所ニュースリリースより「コンソーシアム形成による企業間情報連携基盤のイメージ」

2019年9月にはさらに損害保険ジャパン日本興亜、東京海上ホールディングス、三井住友海上火災保険、大阪ガス、東邦ガスの5社をコンソーシアムの輪に加えたが、やはり発表文では「引っ越し時に発生する火災・地震保険やエネルギーのインフラサービスの手続きの簡素化」がうたわれている。

ブロックチェーンはいわゆる「分散台帳技術」であり、耐障害性や耐改ざん性などの技術的な特性を持つ。顧客の「本人情報」が高度なセキュリティのもと、改ざんできない形で1つだけあれば、確認作業の事は足りる。

つまり、顧客の同意を得る形で、同じ「本人情報」を複数企業間で共有できれば、その確認にかかる手間やコストが低減すると見込まれているのだ。複数社の連名で出されたニュースリリースには、次のような展望が明かされている。

「金融分野や自治体分野など幅広く参加企業・団体を募り、お客さまおよび企業の双方に有益なエコシステムの実現とオープンイノベーションの加速を目的とする企業コンソーシアムを2020年に設立することをめざします。企業がそれぞれ保持する独自情報を、お客さま本人の同意のもとで本基盤上に持ち寄り共有することで、異業種データの掛け合わせによる新たなユーザーメリットの創出のほか、一括契約や手続きが可能な業種を拡大するなど、業界を超えてさらなる利便性の向上を実現します。」

「競争」から「協創」へ──異業種コンソーシアムは広がるか?

同セミナーで、積水ハウスの田原陽一氏は同社が今後どのように新たな技術を活用していくのか、「ブロックチェーン導入により賃貸契約を効率化し、ホテルを予約するように簡単にできるようにしたい」などの見通しを述べた。

また「日本では個人情報の活用や提供に対する不信感が根強いが、サービスが充実して使いやすく便利になるなど一定のラインを越えれば一気に普及が進む可能性もある」とし、将来的にはブロックチェーン上に過去の入居履歴や家賃の支払い等の様々な行動履歴が残ることで、それらが利用者の強力な信用力となり、「新たな関連ビジネスの基盤になるのではないか」と期待を寄せた。

またKDDIの小澤敏道氏はKDDIがブロックチェーンに取り組む理由について、近年同社が取り組む「通信とライフデザインの融合」について紹介し、すでに普及している「携帯電話のID」を軸にすることで、不動産と掛け合わせことで「無人内覧」を展開する、さらに保険・インフラにひもづけて「ワンストップでの住所変更」を実現するなど、具体的なアイデアを披露した。

KDDIの小澤敏道氏

日立製作所の仲根伸一氏はCoinDesk Japanの取材に対し「別の業種だから一緒にやれない、異業種コンソーシアムだから難しいということではない。いちばん大事なのはエンドユーザーに利便性を届けられるかどうかだ。それが個人にデータを拠出していただく条件だと考えている」とコメントし、「いろいろなアイデアを持っている企業に参加いただき、新たな価値を生み出す取り組みをいっしょにさせていただきたい」と企業のコンソーシアムへの参加を呼びかけた。

日立製作所の仲根伸一氏

「競争」から「協創」へ。「顧客情報」をコンソーシアム型のブロックチェーンで共有する動きは今後も広がるのか? ブロックチェーンで加速する異業種コンソーシアムに、今後も注目だ。 

参考資料:https://www.coindeskjapan.com/24881/ 

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