Junya Hirano 平野淳也(@junya_1991)
FacebookのCEOのザッカーバーグは、年始に、同社のサービスの本質的課題(国家の介入や、Facebookを含む数社のテック企業が大きくなりすぎたこと等)に触れ、テクノロジーのトレンドとしては、非中央集権性や暗号通貨に興味をがあるということを、彼のFacebookの投稿で示しました。
毎年、ザッカーバーグは個人的な目標を公言していますが、彼の今年の目標は、先述したFacebookが向き合っている問題を解決することだとしています。
そういった投稿から、Facebookのサービスにもし暗号通貨が利用されるとどうなるか?だろうか、という予想や考察が業界でいくつか出ています。そのうちの1つ、MIT Digital Currency InitiativeのアドバイザーのMichael J Casey氏が、CoinDeskに寄稿したものを紹介します。
CoinDesk:What a Facebook Blockchain Token Might Look Like
Contents
FacebookがFBトークンを作ったら、どのようなモデルになるか?
簡潔に説明すると
- 株主にトークンを配る
- それと別にユーザーは独自の評価アルゴリズムに基づいて判断される良いコンテンツを、TLに乗せるとトークンが貰える
- トークンは広告の出稿に使えるので価値がつき、市場でも売買できる
- 需要に応じて市場でトークンの価格が上がる
期待できる点は、ユーザーが良いコンテンツを投稿するとFacebookトークンが貰えるインセンティブがあることで、良いコンテンツが増えてアクティブユーザーが増えると、広告の出稿場所としての価値も上がるでしょう。
それら一連のエコシステムが成立することは、Facebook自体の価値もあがるとも言えるでしょう。
ということはあり得るし、同時にユーザーもハッピーになるということはあり得る話ではあります。ちなみにこの時、トークンを株主にも配分すると説明していますが、これは必要でしょう。
広告出稿をトークンで賄えるのであれば、米ドル建てでの売上は恐らく減少するはずで、それは株主の将来の利益の減少を意味するので、このモデルを採用するのならば、トークンを引き渡すことが正しい流れとなります。
ユティリティトークンの価値
こういったモデルは、特に新規性のある話ではありません。
実際にsteemなどのSNSは分散型SNSとして稼働し、ユーザーは良いコンテンツを投稿するとインセンティブがあるブログサービスがあります。
他、こういったSNSなどで「独自の経済圏」をつくるアイデアをホワイトペーパーにしてICOをする事例はいくらでもあります。他にも赤字企業がこういったユティリティトークンを構想することは少なくありません。
Facebookを例にしたMichael J Casey氏のこのモデルで、Facebookのトークンに価値がつくのは、「Facebookの広告出稿には価値があるから」です。
そもそも社会の価値を生み出すことができない、または、既存の形態で「売上」というフォルターを通して価値を証明できていない媒体が、トークンを作っても、トークンには価値がありません。
当然の話なのですが、今、それをやろうとしている人たちが沢山いるのが現実です。
「価値」のないトークンにも、煽りやICOという新規性から、「価格」がついてしまうのが実情です。
より本質的な非中央集権性を持ったSNSは可能なのか
ところで、Michael J Casey氏のトークンモデルのままでは、Facebookは以前より分散はされるかもしれませんが、依然、中央集権です。
というのも、タイムラインでどのような順番で表示されるかのアルゴリズムはオープンになっていないままですし、トークンが貰えるかどうかの評価軸アルゴリズムも恐らくFacebook社が中央集権で構築することになりますし、ユーザーのデータも変わらず保持していることになります。
それともインセンティブさえ与えらればユーザーは満足なのか、それともより本質的な非中央集権的ソーシャルメディアは可能なのか、ザッカーバーグがどのように考えるかは筆者も大変興味があります。
彼が今年1年、Facebookの抱える課題についてどのようなアプローチで向き合うかは、中央集権と非中央集権という文脈からも、考察されるべきことでしょう。
Source: 仮想通貨ビットコイン